カスタマーレビュー
おすすめ度:
二度と・・・ 
(2008-10-05)
人間の弱さ・汚さ・悲しみが感じられる。
本当にこれがヒトラーとしたら
自分の誇大妄想に中に人を引きづり込んで
挙句の果てに、
ドイツ国民を見放し
自分を信じて飛び込んできたのは
それぞれの責任で
自分には一切責任がないといいきる姿は
本当にみにくい。
また、その周りの人間模様も、
(まさにこんな人は今の世の中にも
たくさんいるだろうが)
人間の本性そのもの。
わがふりを顧みる鏡として
自分を振り返ってみた。
ただ その中にも、我を顧みずに
負傷者を献身的に助けようと
していた医者の姿を わたしは、忘れないでしょう。
二度とこんな戦争がないことを祈ります。
奥行きのある作品でした 
(2008-05-02)
いわゆるヒトラーを狂人扱いにする単純なものでなく、もっと人間臭く、「ひょっとしたらヒトラーってええ人とちゃうん?」って見るものを迷わせる危険性を秘めた奥の深い作品に仕上がっています。もともとユダヤ人を生まれつき毛嫌いしていたわけでもないようですし、政治的に明確な政策を持っていたわけでもなさそうな人物が、演説がカリスマ的であるがゆえに偶然が偶然を呼び、こうなってしまったという見方が正解なのかなと思って見てしまいました。ヒトラー役のブルーノ・ガンツが来日した時のインタビューが特典としてついていますが、「日本のことはあんまり良く知らないけれど、戦後の処理はドイツの方が上だと思う」というグサッとくる指摘が印象的でしたね。それとドイツ国内の若者はヒトラーのことを真面目に触れたがらないというコメントも記憶に残っております。第2次世界大戦を分析するに当たってヒトラーのようなカリスマ人物がいない日本の方がより性質が悪いのかもしれないなとも思って見ておりました。色々と考えさせてくれる奥の深い映画でした。
愚行だったと批判するのは簡単 
(2008-04-19)
優れた戦争映画、映像は、「このような愚かなことが行われた、だが、それは今後、何時でも誰でも起こしうるものだ」ということを、視聴者の頭の中に澱のように残します。
追い込まれた人間の身勝手さ、醜さ、強烈な思想に支配された人間の滑稽さ、ほんの少し残された良心が限られた空間で展開されて息が詰まりました。
ヒトラー個人というよりも、その当時の人間の姿、社会全般を切り取っているように思えました。
日本の戦争映画が今ひとつ好きになれないのは、戦争(第二次世界大戦)を過去のものとして切り離し、中途半端に情緒を織り交ぜて泣かせる、或いは健闘したと称えるやり方が鼻につくからです。
身内には情が厚くても赤の他人には酷薄、それは誰にでもあることです。それが上手く助長されれば、誰でも戦場で人が殺せるでしょう。
自分(国)をこうやって批判、見直していかなければ、勘違いと思い込みで同じことが何度でも起こりえます。
ヒトラーは側近には優しかったらしい。けれど・・・それは・・・。 
(2008-01-01)
独裁者・アドルフ・ヒトラーの死の直前を描いた作品です。
話自体はヒトラーの秘書を務めた女性の視点から語られていきます。
ドイツの敗色が濃厚となった1945年4月のベルリンでは連日のソ連軍の空襲に多くの市民が逃げ惑い、兵士と市民の区別、大人と子供の区別無く犠牲者が山となっていきます。
地下壕に籠るヒトラーはすっかり憔悴し切っていて、往時のカリスマは消え失せて見る影もなく、手は度々震え出して将軍たちの報告に「妄想の援軍が来る」と、うわ言のように繰り返す始末。
側近の大半はもう「戦争は負けだ」と考えているのですが、ヒトラーの「妄想の援軍」と「絶対に降伏はしない。降伏などするくらいなら滅びてしまったほうがよい」という自滅の強制によって戦争を終結させることも出来ず、さらなる無意味な犠牲者を増大させることとなります。
その姿はヨーロッパを席捲した独裁者の姿・・・・ではなく、「破滅に怯える1人の孤独な老人」にすぎません。猜疑心の強いヒトラーは敗戦を「部下の裏切り」にあると当り散らしますが、勿論そんなことをしても状況は変わりません。自分を支持してくれた国民が連日のように犠牲になってもヒトラーは無関心。それどころか「自業自得だ」と吐き捨てる非情。
「責任を取らなければならない」とついに自殺の決意を固めたヒトラーですが、これこそが大きな茶番に過ぎません。本当に責任を取る気持ちがあるのなら、戦争裁判を受けるべきなのです。そもそもヒトラーの野心によって始まった戦争だったのですから。しかし彼は「自分の死体が死後に見せ物になることを酷く恐れる」など、結局のところ自己の保身のために「殉教者のように」自殺することで責任逃れをしてしまいました。
ヒトラーの側近もろくなヤツがいませんが、中でも作中で酷いのがゲッベルスです。ナチスの破滅に合わせて、夫人と共謀して自らの幼い子供6人を無理矢理毒殺してしまう。いちばん年上の長女は「様子がおかしいこと」を感じ取って睡眠薬を飲まされることを嫌がりますが、それを押さえ付けて無理矢理飲ませた挙句の果てにひとりひとりの口に毒薬のカプセルを突っ込んでいく非情。子供たちは「愚かな両親」のために生き残ることを選ぶ権利さえも与えられませんでした。夫人の言う「神様も分かってくださる」・・・に夫妻の身勝手さが凝縮されています。
周囲の他の大人たちも・・・・夫妻を騙してでも、夫妻から奪い取ってでも子供たちを助けてやればいいのに。何もしないのにも憤ります。自身の命さえどうなるのかも分からない状況だったとはいえ、殺すということが見えているのにあまりにも「無関心」。建築家のシュペーアも子供たちを助けることを夫人に進言しながら「いざ、自分が逃げるときには子供たちは連れて行かない・・・・」。置いて行ったら、両親が子供たちを殺すことは見えていたでしょうに。
秘書のトラウドゥルの視点から見たヒトラーは「優しさ」のほうが強調されていますが、彼女は彼がどれほどの悪行を行ってきたのかについて知らなかった。個人的な「秘書」でしかなかった彼女には罪は無いとも言えますが、彼女には「拒否するチャンスもありながら、自らそこへ飛び込んでいったのです。」そういう意味においては「彼の属する集団の協力者のひとりになった」という点で罪はあるでしょう。
晩年の彼女自身も劇の最後に登場して「そのことを」認めていました。
最後まで「自己弁護」と「責任転嫁」に終始する人間が多い中で、そこは評価すべき点かと。
最後に手塚治虫作の漫画「アドルフに告ぐ」に登場したヒトラーの遺言書を作成するトラウドゥルは・・・確か「男性として」描かれていたような気が・・・・・。手塚先生の間違いか?。
戦争映画の傑作!? 
(2007-04-14)
ハリウッドや日本の戦争映画に涙する人にとっては、見終えたあとの後味の悪さはいただけないかもしれません。
自分の中でベストの戦争映画である、ジェイムズ・コバーン主演「戦争のはらわた」に勝るとも劣らない後味の悪さですね。
しかし、本来戦争というのは救いようのない世界であり、そこに恋や愛などを織り交ぜ、ハッピーエンドに仕向けたところで陳腐になるだけ。
そんな感想を持ちながら戦争映画を見ているベテランにはオススメであり、その作品も重厚で非常に丁寧に創られており、ヒトラー役のブルーノ・ガンツをはじめ、役者陣の演技も鬼気迫るものがあり、戦争映画の傑作であることは間違いありません。
ただし、戦闘シーンが少なめとはいえ、惨いシーンもあるため心して見る必要はあります。
なお、ヒトラー自身についてはそれぞれの感想があると思いますので、是非その目でご覧になって確かめていただきたいです。