カスタマーレビュー
おすすめ度:
映画が先か、本が先か、どちらでもだいじょうぶ 
(2009-10-25)
昨日公開となった映画を見た。原作を読んでから映画を見るとがっかりするとよく言われるが、
よく出来た映画だった。だからと言って映画を見て筋を知ってしまうと本がおもしろくなくなる
かというとそういうこともない。むしろ3時間超と映画としては長いとはいえ、文庫本で5巻と
いう長い小説ではどうしても取捨選択してはしょわらずを得ないので、映画を見てから読むと映画
で描写できなかったディテールが分かり、面白さが増す。
この本で扱った航空会社は政権交代もありほぼ公的資金注入が決まった。本と映画で描かれた
官的体質のゆえである。映画制作の構想・企画は政府による再生が明らかとなる前であったはずだ。
その時機を得た先見性には脱帽だが、10年も前にそれを見越したような予見を内包したこの本は
すばらしいという言葉を超越している。山崎豊子おそるべしとしか言いようがない。映画と本、
双方お勧めですが、映画にはハンカチが必携です。
「白い巨塔」で育った者の読後感です。
by 左門 新
三つ星レストランには、なぜ女性シェフがいないのか
女はなぜ素肌にセーターを着れるのか
JAL再建なるか? 
(2009-10-13)
「御巣鷹山編」単独でも読み応え十分で、凄惨さの描写はインパクトがあります。JAL再建について昨今騒いでいますが、他の巻を含め読むと、考えさせられるものがあります(どこまでがフィクションで、何がノンフィクションなのか?が分かりませんが)。
「会長室編」へのプロローグ 
(2009-08-30)
山崎豊子氏による、日航機の墜落事故をモチーフにした限りなくノンフィクションに近いフィクション。
前編である「アフリカ編」とはうってかわり、御巣鷹山での日航機墜落事故を軸に物語は進行する。
遺族の悲しみと戦い、企業の腐敗。
事故を取り巻き、様々な立場に置かれた人々による群像劇でもある。
恩地もその中の一人として描かれているといった印象を受けた。
また、前編「アフリカ編」と本編は、併せて「会長室編」へと続く、壮大なプロローグと言ってもいいかも知れない。
あの夏に起きた、前例の無い壮絶な事故。
これを風化させてはならず、本作が「語り部」としての役割を担ってくれればと願う。
こんなサラリーマン人生で正気でいられるはずがない。 
(2009-04-04)
アフリカ含め10年の島流し。で、帰ってきたら未曾有の墜落事故の遺族世話係・・・。
この小説のモデルとなる某航空会社は就職人気ランキングで常に上位ですが、この小説を
読むと自分の子供を入れたいとは絶対に思いませんね。主人公・恩地には実在のモデルが
いるというのもビックリですが、この本の映画化にその会社が大反対したというエピソード
も何となく頷けます。あの暑かった夏、TVも新聞も毎日このニュースばかり。そんな日々
が眼前にまた蘇るような、生々しくかつテンポのよいストーリー展開。アフリカ編同様、
あっという間に読了しました。
涙なくして読むことができない 
(2008-09-19)
事故当時、中学生でしたが、この墜落事故は鮮やかに覚えています。この御巣鷹山篇の冒頭の管制室の緊迫したやりとりで、当時の記憶がよみがえってきました。乗客の、家族の、救援者の、そして管制室の、事故にかかわってその無事を思った人すべての無念と、絶望を思うと、想像を絶します。また、被害者への応対についても、あまりにも家族の気持ちを踏みにじる補償の進め方に、憤慨しました。関係者の無念、家族を失ったことの空虚な思い、こういったことに想いを馳せると、読んでいて涙が止まりませんでした。
前篇でアフリカから呼び戻され、幸福の兆しが垣間見えたかに思えた主人公の恩地もまた、この事故にかかわります。一度狂った歯車が、狂い続けている状況に直面し、読者の私もやるせない気持ちになりました。作品中では、一企業がここまで執拗に一個人に対して報復をするのかという調子で書かれていますが、恩地の扱いが永田町でも話題だと書かれていた文章を見逃すことができませんでした。つまりは、企業のみならず、一国家が恩地に対する攻撃を後押ししていたということです。ふとしたきっかけで職責を果たしたばかりに「アカ」のレッテルを貼られ、一企業どころか、国家からこうも攻撃されるという理不尽が許されていいものかと感じました。
まだ、3篇目までを読んだところですが、企業の社会責任とは何なのか?多面的に考えさせられます。